傷病手当金の法改正まとめ
皆さま、すでにチェック済みとは思いますが、
傷病手当金の支給期間が令和4年1月1日から変わっています。
傷病手当金と言えば、昨年話題になってましたね。
ある方のお母さまが休職中に軽井沢で働いてたらしく不正受給の疑いで
良く報道されてた手当です👇
改正のポイント(超訳)
支給開始日から
旧:1年6か月間のみ傷病手当金が支給
新:「通算して1年6か月」
通算になった点が変更点です。
改正によるメリット
<従業員目線>
いままでは、職場に復帰すると、傷病手当金は支給されず※注1、
また休んでしまうと、支給が復活しますが、
もらえる期間は、固定で1年6か月と延長されませんでした。
1月からは、また休むことになっても、
MAX1年6か月分はもらえますので、給付日数で損することはなくなりました。
※注1:所定労働時間の一部だけ働いた場合
その日は「休業した日」とは取り扱われないことになっています。
賃金額が傷病手当金の額を超える超えないにかかわらず、
一切支給されないことになります。
S29.12.9 保文発第14236号の通知
「医師の指示又は許可のもとに半日出勤し、従前の業務に服する場合は支給されない。また、就業時間を短縮せず配置転換により同一事業場内で従前に比しやや軽い労働に服する場合は支給されない」
尚、休んでいる間の軽い副業や内職は差し支えありません。
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<事業者目線>
お試し出社をお願いする場合、以前のルールだと、また休む可能性があると、
給付日数が減ってしまう可能性があったので、本人との調整が必要でした。
新ルールならば、仮にまた体調が悪くなっても、給付日数は1年6か月分まで通算でありますので、従業員に不利はありません。
お試し出社をお願いしやすくなったと言えます。
【実務面の注意点】
令和3年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金(令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金)が対象です。
【法改正の背景】
<質問>
現役世代で傷病手当金を利用する方は、どんな御病気が多いと思いますか?
「3大成人病が多い」と答える方も多いのですが・・・
全国協会けんぽ 現金給付受給者状況調査令和2年のデータです。
現役世代(赤い線の左側)は、
圧倒的に、精神系、メンタル疾患での利用になっています。
重病の方は退職されたりして、利用してないから、
メンタルでの利用が多いのでは?とのご指摘もありそうなので、補足です。
仕事中に支給決定されていれば、退職後でも継続して傷病手当金は利用できます。
退職後も継続して利用できる事を知らない方多いので、
退職するまえに支給条件を満たせているか確認し手続きをオススメします。
統計データは実務でも役に立ちますが、一般常識試験でも問われかねません。
自身の感覚と統計数値にズレがあれば、記憶を訂正してください。
職場でのメンタル疾患の特徴について
職場に戻ると体調がわるい、自宅だと元気といった症状の方も多くいます。
通称、新型ウツ
このような症状の方、他の症状等で、なんども休職を繰り返す事例が増えた事もあり、
通算化の法改正につながったと考えています。
法改正は世のトレンドをあらわしています
法改正により最新の情報を掴んだから、
自社の運用体制の見直しをする良い機会と思ってください。
傷病手当金の通算化から学ぶこと
↓
休職を繰り返す人が増えている
↓
対策:就業規則「休職期間」をチェック
同一傷病、短期間での休職になった場合は、
休職期間を通算する規定の追加を検討する
【就業規則例】
従業員が復職後6か月以内に同一又は類似の事由により完全な労務提供ができない状況に至ったときは、復職を取り消し、直ちに休職させる。この場合の休職期間は、復職前の休職期間の残存期間とする。
いかがでしたでしょうか?
単に通算されただけですが、色々な見方が出来ることがわかったかと思います。
実務でも受験勉強でも、法改正情報を深く読めるようになると対応力の差がでてきます。参考になれば幸いです。
☆御礼☆
最後までお読み頂きありがとうございます。
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