「あけおめ退職」は他人事ではない
「あけおめ退職なんて、本当にあるのだろうか?」
そう感じていたところ、実際に身近で発生し、相談を受けるケースがありました。
今回の事案では、
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1月5日:「退職します」と意思表示
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その後、有給休暇を消化
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実際の退職日は 1月末
という流れでした。
SNSや報道で語られる「あけおめ退職」は、
「年明けにいきなり会社を去る」イメージが強いですが、
実務上は“退職の意思表示”と“退職日”がズレるケースが少なくありません。
このズレこそが、資格得喪・社会保険実務で注意すべきポイントになります。
社労士視点で見る「資格喪失日」の基本ルール
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格喪失日は、
退職日の翌日です。
そして、社会保険料は次のルールで整理されます。
社会保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める
この原則を踏まえると、退職日の違いが与える影響が大きくなります。
退職日による社会保険料の違い【具体例】
ケース①:1月31日退職の場合
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資格喪失日:2月1日
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資格喪失日が属する月:2月
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社会保険料の納付対象:1月分まで
👉 1月分の厚生年金・健康保険に加入
👉 将来の年金額にも反映される
※1月分の会社側としては厚生年金を払わなくて良いメリットはあります。
ケース②:1月30日退職の場合
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資格喪失日:1月31日
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資格喪失日が属する月:1月
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社会保険料の納付対象:12月分まで
👉 1月分の厚生年金でなく、国民年金に未加入
👉 1か月分、将来の2階建て部分の厚生年金分が減る(1階部分の国民年金のみ)
たった1日の差が生むインパクト
1月30日退職と1月31日退職。
違いは1日ですが、
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社会保険料
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厚生年金の加入月数
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将来の年金額
に影響が出ます。
月初退職・即日退職がもたらす実務負担
「あけおめ退職」のように、月初で退職意思が示されると、
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個別の給与計算対応
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急ぎの社会保険手続き
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離職票の作成(月末より記入が手間)
など、実務負担が増えます。
「あけおめ退職」はなぜ起きるのか
「あけおめ退職」という言葉は、SNS発祥とされています。
背景には、
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年末年始の長期休暇で心身がリセットされる
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日常業務から距離を置き、キャリアを再考する
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新年という節目が、退職の決断を後押しする
といった心理的要因があります。
特に若年層では、
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家族・友人・SNSの意見
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転職情報への接触
により、短期間で意思決定が加速する傾向が見られます。

「退職が集中するタイミング」は決まっている
実務感覚として、離職が増えやすい時期は以下です。
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新人採用後、初めての土日明け
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入社1週目の週明け
- 入社1か月、3か月後、半年後
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3月退職(4月に新会社への入社狙い)
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GW明け退職
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年末年始明け(あけおめ退職)
休暇明けや節目が離職リスクが高まるリスクがあります。
「あけおめ退職」から考える、社員定着支援の実務ポイント
重要なのは、
「退職を止めること」ではありません。
👉 退職に至る前のサインを、組織として拾えているか
です。
① 長期休暇明けのフォローを“仕組み化”
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上司からの一言
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簡単な面談や声かけ
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「戻ってきてくれてありがとう」のメッセージ
② 新人・若手は“最初の週末”が最大の山場
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初週金曜のフォロー
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相談先を明確に伝える
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退職代行を使う前に話せる関係づくり
③ キャリア不安を放置しない
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将来像が見えているか
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評価・配置の説明は足りているか
多くの場合、退職の決断は休暇中に突然生まれるのではなく、以前から蓄積されています。
あけおめ退職報道を他社ごととおもわない教訓とする
メディアで取り上げられる「あけおめ退職」を、
「最近の若者の話」「どこか別の会社の出来事」
として受け止めてしまうのは、少し危険かもしれません。
1月中はまだ注意が必要な期間です。
むしろこの言葉は、
自社に離職の予兆がないかを点検するためのサイン
と捉えるべきでしょう。
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長期休暇明けに、表情が変わった社員はいないか
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休暇前後で、相談や雑談の量が減っていないか
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新人・若手が、孤立していないか
長期休暇は、心身を回復させる一方で、
仕事やキャリアを冷静に見つめ直す時間にもなります。
その結果、モチベーションが一時的に下がるのは、決して特別なことではありません。
重要なのは、
その「揺らぎ」を放置しないことです。
「あけおめ退職」という言葉に振り回されるのではなく、
それをきっかけに、
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休暇明けの声かけ
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小さな変化への気づき
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話せる関係性づくり
を改めて見直す。
それこそが、
離職防止と社員定着につながる、最も現実的な対策ではないでしょうか。
新年の話題として終わらせず、
組織を点検する“合図”として活かすこと。
それが、「あけおめ退職」報道から学ぶ、最大の教訓です。
☆御礼☆
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