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社労士が語る「ワークライフバランスを捨てる」の本質とは?(人的資本経営の未来)

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―高市新総裁の発言から考える“令和の働き方”と“ワークインライフ”の視点―

「ワークライフバランスという言葉を捨てる。働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」
「全員に働いていただく。馬車馬のように働いていただく」

高市新総裁の発言が大きな注目を集めています。
“昭和的”な響きをもつ言葉ですが、その背景には「日本の成長を取り戻す」という切実な覚悟も見えます。

ただし、社会保険労務士として現場を見ている立場から言えば、
このメッセージを“そのまま現場に持ち込む”ことは非常に危険です。
なぜなら、令和の働き方では、「働かせ方」「働き方」「生き方」の前提そのものが変化しているからです。

■ 「ワークライフバランス」はもう古い?

仕事中心の時代に、長時間労働を是正し、休暇を確保する。
この発想で進められた「ワークライフバランス」は、一定の成果を上げました。

しかし現代では、人生を決めるのは本人。

仕事と生活を“分けて考える”考えが、変化の激しい時代にマッチしていません。

リモートワーク、副業、地域活動、スキルアップ。
これらはすべて、仕事と生活を融合させながら生きる「ワークインライフ」の流れを示しています。

■ ワークインライフ:仕事は“人生の中にある”もの

ワークインライフ(Work in Life)とは、仕事を人生の一部の土台として捉え、
自分の価値観や生き方の中に自然に溶け込ませる考え方です。

バランスを取るのではなく、融合させる
たとえば、

  • 子育てや介護をしながら専門性を発揮する

  • 趣味や地域活動を通して社会とつながる

  • 定年後も、知識や経験を活かして働き続ける

こうした働き方では、「働くこと=自分を表現すること」になります。
つまり、仕事は“苦役”ではなく“自己実現の手段”へと進化しているのです。

 

■ 人的資本経営に求められるのは「働かせ方のデザイン」

企業が目指すべきは、「馬車馬のように働かせる」ことではなく、
“人が自走できる働き方”を設計することです。

制度面では、

  • 柔軟な勤務制度(リモート、副業、時短勤務)

  • 成果を時間ではなく「価値」で測る評価制度

  • 管理職のマネジメント教育(ライフ理解を含む)

こうした取り組みは、単なる福利厚生ではなく、
人的資本の投資戦略そのものです。

 

 

■ キャリアオーナーシップの時代

キャリアは「会社が決めるもの」ではない

ワークインライフの根底にあるのが、キャリアオーナーシップ(Career Ownership)の発想です。

かつての日本企業では、「キャリア」は会社が設計し、昇進・配置を通じて“与えられるもの”でした。
しかしいまは、キャリアは自分でデザインするものに変わりました。

社員が自分のキャリアを主体的に考え、学び、挑戦する。
その過程で得た経験やスキルが、企業にとっての人的資本となります。

逆に、社員が「キャリア資産を社内で蓄積できない」と感じた瞬間、
その資産を活かし、さらに蓄積できる場を求めて他社へステップアップ(転職)してしまいます。

つまり、キャリアを預ける価値のある会社でなければ、
優秀人材は定着しない時代になったのです。

■ 「働け」と言える社会をつくるために

高市新総裁の「働け、働け」という言葉は、
裏を返せば「政治家が一丸となって、日本をもう一活性化させよう」という呼びかけでもあります。

本来は、それを実現するのは「働かせる力」、強制ではなく、
“働きたいと思える仕組み”を生み出す力です。

社会保険労務士の役割は、その“仕組み”を現実にすること。
すなわち、経営と人をつなぐ設計者として、
企業が「ワークインライフ」と「キャリアオーナーシップ」を実現できる環境づくりを支援していくことです。

☆御礼☆

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