9月1日は「防災の日」です。1923年9月1日に発生した関東大震災を教訓とし、国民に災害への認識を深めてもらうために1960年に制定されました。
台風シーズンでもあるため、防災意識を高めることを目的として、この日を含む8月30日から9月5日までは「防災週間」と定められています。
防災士の理事として、そして社会保険労務士として日々企業の従業員と組織を守る立場にある私が、なぜBCP(事業継続計画)の年次見直しを9月1日に行うことをお勧めするのか、その理由と具体的な取り組み方法についてお話しします。
なぜ9月1日がBCP見直しの最適な日なのか
1. 防災意識が最も高まる時期
防災の日である9月1日は、国民全体の防災意識が最も高まる時期です。この時期に合わせてBCPの見直しを行うことで、経営陣から現場の従業員まで、組織全体が災害リスクと事業継続の重要性を共通認識として持ちやすくなります。
2. 台風シーズンという現実的なタイミング
9月は台風シーズンの真っ只中です。地震だけでなく、水害や停電といった身近なリスクが現実味を帯びる時期だからこそ、BCPの実効性について真剣に検討することができます。
3. 年度下半期のスタート時期
多くの企業にとって上期最後の月、上半期の実績を踏まえ、下半期の事業計画を実行する前に、リスク対策としてのBCPも同時に見直すことで、より実効性の高い計画を策定できます。
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読者感想:
・自社ごととして、BCPを捉えることができた
・中小企業こそBCPが必要。
・社員と共有し一緒に考え、運用することが大切だとわかった
・BCPを作成することで、事業が強くなる(強みを伸ばせる)
等
社労士の視点から見るBCPの重要性
人による生きたBCP対策
BCPはマニュアルを作っておわりではありません、実践するのは「人」です。
人の命をまもり、人により早期の復旧を目指せる、自立した組織、自律型人材の育成が要となります。

図:2025年ブログ管理人作成
人によるBCPの詳細は下記コラムに寄稿してます。
・労務管理の面から見たBCP上のリスク
・事業継続に強い人材育成と企業風土醸成
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【コラム】中小企業のためのBCP入門/「もしも」に備えるBCPの基礎知識 | 人事・労務のポータルサイト かいけつ!人事労務
従業員の安全配慮義務
労働契約法第5条では、使用者は従業員の安全に配慮する義務があることが明記されています。災害時においても、この安全配慮義務は継続します。BCPは単なる事業継続のためだけではなく、従業員の生命と安全を守るための重要な法的責任の一環なのです。
労働基準法上の対応
災害時には、労働基準法に基づく休業手当の支払いや、労働時間の特例措置など、様々な労務管理上の課題が発生します。事前にこれらの対応方針をBCPに盛り込んでおくことで、混乱を最小限に抑えることができます。
雇用の維持と職場復帰支援
災害によって事業が停止した場合でも、従業員の雇用を維持し、適切な職場復帰支援を行うことは企業の社会的責任です。BCPには、雇用調整助成金の活用や、メンタルヘルス対策なども含めて検討すべきです。
年次BCP見直しの具体的なプロセス
Phase 1: 現状分析(8月中旬~下旬)
- 過去1年間に発生した災害事例の収集・分析
- 自社の事業環境変化の把握(新規事業、組織変更、システム更新等)
- 既存BCPの実行可能性の検証
Phase 2: リスク評価の更新(9月1日前後)
- 防災の日を機に、最新のハザードマップや気象データを確認
- 事業インパクト分析の見直し
- 重要業務の優先順位付けの再検討
- 防災訓練の実施(結果の評価)
Phase 3: 対策の見直しと改善(9月上旬)
- 代替拠点や在宅勤務体制の整備状況確認
- 緊急連絡網の更新(人事異動反映)
- 備蓄品の点検・補充
Phase 4: 訓練計画の策定(9月中旬)
- 避難訓練の計画の見直し
- BCP発動訓練のシナリオ作成
- 従業員への教育・研修計画の立案
防災士として推奨する実践的なポイント
1. 地域との連携強化
企業のBCPは単独では完結しません。地域の防災計画や他企業との相互支援体制を組み込んだ、より実効性の高いBCPを目指しましょう。
2. 多様な災害シナリオへの対応
地震だけでなく、水害、感染症、サイバー攻撃など、多様なリスクを想定したBCPの策定が重要です。特に近年は、複合災害への対応も求められています。
3. デジタル化への対応
テレワークやクラウドサービスの普及により、BCPにおけるIT対応の重要性が増しています。デジタル技術を活用した事業継続体制の構築を検討しましょう。
まとめ:継続的改善の文化づくり
BCPは作って終わりではなく、継続的に見直し、改善していくものです。9月1日を「我が社のBCP見直しの日」と位置付け、年次の定例行事として定着させることで、組織全体に防災・減災の文化を根付かせることができます。
関東大震災から100年が経過した今、私たちは先人の教訓を活かし、より強靭で持続可能な企業経営を実現する責任があります。防災の日を機に、あなたの会社のBCPを今一度見直してみませんか。
従業員一人ひとりの安全と、事業の継続性を両立させることこそが、真の企業の社会的責任なのです。
筆者:NPO東京都防災士会理事・社会保険労務士 企業の防災・BCP策定支援、労務リスク管理の専門家
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