令和4年4月より、中小企業も含めて全企業にパワハラ防止法が施行されました。
ニュースにもなったので、今更ですが新規で就業規則の問い合わせがありました。
今日は今年の本試験の出題範囲となる法改正を簡単にまとめます。
その前に・・・
夢と魔法の国でもパワハラがあるなんて、信じられませんね。
法改正の話より、こちらのニュースの方が話題になってました。
実はパワハラ防止法としては罰則がありません。
今回の千葉地裁での裁判は企業の安全配慮義務※1違反を訴えて、
賠償命令88万円の支払いが命じられました。
※1 安全配慮義務とは?
社労士試験頻出論点です。
労働契約法第5条
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
→身体等には、精神面も含まれます。「等」が大事なのです。
ひっかけ問題で、「身体」となってたら、×問です。
被害者に、長年にわたり、かなり酷い暴言(ここでは激しい言葉なので自粛にて割愛)を吐かれ精神を病んだそうです。
それなのに、なんと判決によると
「一部は認められるが、必ずしも不法行為とは言えない」とのこと。
パワハラ行為はあったとしても、不法行為としては認めてません。
アメリカだったら、億単位の損害賠償がでそうな事件ですが、
日本のパワハラ裁判はシビアすぎです・・・
パワハラか、パワハラでないか
グレーゾーンが一番、判断が難しいのです。
下記はパワハラ防止法で分類されたパワハラのパターンです。(6類型)
6類型で意外なのは過小な要求もパワハラになるからご注意を・・
(能力があるのに、仕事を与えない等)
パワハラ防止法まとめ
【概要】
正式名称を「労働施策総合推進法」
会社としてパワハラ防止に向けた取り組みの実施
【パワハラの定義】
1.優越的な関係を背景とした言動であって、
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
3.労働者の就業環境が害されるものであり、
4.1から3までの要素を全て満たすもの。
※青字は、社労士試験の選択式で抜かれそうなキーワード
<パワハラクイズ>
【問1】
部下から上司へパワハラはありえるか?
【答え】
パワーバランスによる言動は、職位によるもの(上司と部下)は一般的ですが、
スキル、知識、経験等を軸としたパワハラがあります。
例えば、営業から栄転して、事務方のトップに着任
この場合、知識が豊富な部下から、嫌がらせをうける場合があります。
【問2】
相手が、パワハラと感じたら、パワハラになってしまうのか?
【答え】
相手の感情ではなく、平均的な労働者の感じ方を基準に考えます。
【企業の防止措置】
1.事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・就業規則への記載、社内HP・パンフレット掲載、研修の実施 等
2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・相談窓口の設置、相談担当者への教育、人事との連係 等
3.職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
・双方からの事実確認、第三者機関の利用、懲戒処分の実施、配置等の配慮、
再発防止の実施 等
4.(1)から(3)までの措置と併せて講ずべき措置
・プライバシーの保護、不利益な取り扱いの禁止 等
【パワハラの判定要素】
・行為の内容→事実関係が大事
・継続性→1回だけならセーフになる場合あり
※夢と魔法の国は長期にわたり継続してたから完全にアウトですね
・心理的側面
・前後関係→なぜ、そうなったか、前後のストーリの確認が大事
加害者側が本当に悪質かどうかわからない
【事例】
殴られた人が、その前に罵声を相手にあびせてたらどうなりますか?
この場合、加害者が悪質とは言い切れませんね
パワハラをなくすためルール作りのポイント
就業規則に服務規定として禁止事項、〇〇はダメと記載しますが、
行動心理学的には、人はやってはダメと言われるほど、やりたくなるもの
禁止行動のルールは守ってもらえない率が高くなる実験結果があります。
<お子さんのお手伝で実験>
お水が満杯のコップを
①「こぼさないようにテーブルにもってきて」
②「丁寧に運んでね」
①、②のお願いの仕方では、
①は成功率半分、 ②の丁寧に運ぶは8割成功しています。
脳科学的な解説
人間の脳は否定文を理解できません
こぼさないように→こぼす自分をイメージしてから、それの否定を考えます。
つまり、こぼすイメージが強く脳に残ってしまうからなのです。
〇〇はダメではなく、逆に行動を推奨する指示が適切です。
推奨行動がきまれば、パワハラの白黒執着せずに指導ができます。
ヒアリングを正確に事実を抜き出すことで推奨行動から離れている点、
つまり行動改善ポイントを指導により推奨行動にもどすのです。
推奨行動がうまくできない人のイメージ:自転車のれない人と同じで、指導しながら育成していく、これが軋轢を生まない指導法です。
過去問に挑戦
平成30年 一般常識(労一) 問3 肢B
【問題】
【労働契約法等に関して】
使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。
【答え】〇
社労士受験生へ
実務でも重要な法改正です。今年の試験は要チェックです。
あわせて、安全配慮義務のおさえも忘れずに・・・
最後に一言
パワハラがない心理的安全性が保たれている職場が増えるよう微力ながら社労士として努めたいと思います。
☆御礼☆
最後までお読み頂きありがとうございます。
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